パームオイルは油脂の中では既に大豆油を上回る最大の生産量となっており、食品工業、非食品工業における重要な資源として様々な用途に使われております。コープクリーンも洗剤原料としてパーム油から作られる高級アルコールを大量に使用しております。しかしながら一方で、パーム農園の拡大が、生物多様性保護にとっては極めて貴重な熱帯雨林地域の環境破壊を招いているという事実も認められております。このような状況の中で、パームオイルの持続的発展が可能な生産と使用の仕組みを作り上げ、世界の各国がそれを受け入れ、実行して行くことが求められて来ました。RSPOはこの問題に取り組み、持続可能なパームオイルの生産と使用を促進するために設立されたものです。
RSPOの発案者はWWF(世界自然保護基金)で、2002年にミグロス、ユニリーバ、セインズベリー、マレーシアパームオイル研究所等の協力の下に、 RSPOの組織統治機構の設立を準備するための委員会が設置されました。2003年8月、16カ国200人の参加の下、マレーシアのクアラルンプールで設立総会が開催され、2004年4月に「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」として設立されました。RSPOが目標とするところは、“持続可能なパーム油が標準となるよう市場を変革する”ことであり、そのために、生産と流通における認証制度を確立し、それを広く世界に普及する事にあります。2007年度のRSPO総会で、この認証制度が提案承認され、2008年に初めてのRSPO認証を受けたパーム油が市場にデビューしました。2011年末には、会員数が50カ国、1000団体以上となりました。2012年に生産されたRSPO認証油は800万tを越し、パーム油全体の15%に相当します。
2013年2月現在の会員数は約1200団体で、その内訳は製油業者及び商社が38%、消費者製品製造業者36%、パーム生産者15%、流通小売業6%、環境・自然保護NGO3%、社会活動NGO1%、銀行・投資家1%となっています。日本では27社、コープクリーンの他、サラヤ、ライオン、花王、玉の肌石鹸と、伊藤忠、三井物産、その他三菱商事、日清オイリオ、不二製油も会員登録されています。流通関係ではミグロス、セインズベリーの他、イギリス生協連、スイス生協、ウオルマート、テスコ等が参加しております。会員に対しては、 RSPOの活動を積極的に支え、持続的発展可能なパームオイル生産、調達、消費を促進させるために最善を尽くし、RSPOの諸活動を正しく伝えるために努力する事等が求められております。
持続可能なパーム油生産の実現に向け、RSPOは2007年に8つの原則と39の基準を提示しました。その後、状況の変化に対応できるよう、5年おきに見直しが行われ、2013年4月に8つの原則と43の基準に改定されました。以下に8つの原則の概要について紹介します。
パーム農園から始まり、最終製品ができるまでの各工程を認証することにより、全工程にわたる管理の連鎖がつながり、最終製品中のパーム油の追跡が可能となります。RSPOでは各工程での認証制度として、生産段階での「原則と基準」(P&C)に則って持続可能な生産が行われていることの認証(P&C認証)と、認証パーム油がサプライチェーンの全段階を通じ間違いなく受け渡されるシステムが確立されていることの認証(SCCS認証)という、2つの制度を設けています。いずれもRSPOは直接、審査・認証業務は行わず、第三者でのあるRSPO認定の認証機関が実施します。 認証されたパーム油には、認証品であることを証明するロゴマークを表示することができます。認証されたサプライチェーンモデルに応じて、使用できるロゴマーク及び認証パーム油ついての表示が異なっております。
パーム油の複雑なサプライチェーンを反映して、3つの認証モデルと1つの証券化モデルがあります。
日本国内におけるRSPOの認知度はいまだかなり低く、一般消費者にはほとんど浸透していないものと思われます。今後もコープクリーンが発行する宣伝物等を通じてRSPOの存在をアピールして行こうと考えています。又、認証パーム油製品の使用についても、2012年より、B&C方式にて、粉末衣料用洗剤分の認証証券を購入しております。今後、さらに採用製品の範囲を広げてゆくとともに、マスバランス方式、セグリゲーション方式の認証パーム油製品の導入を計画しております。近い将来、認証品のロゴマークを表示したCOOP商品を開発して行きたいと考えています。皆様方のご支援をお願い致します。